中学年の脳

小3の時に、遠足で神社へ行った。
そこに祀られている大きな石(もしくは岩)は、全国区で有名らしい。
神社に到着すると、三角座りする児童の前で、先生が岩にまつわるお話しをされた。
”遥か、いにしえに、偉い人が、悪者に騙されて、燃える岩を身体に受けて、焼き殺された”
らしい。
大まかにしか覚えていない。お弁当の後は、おやつを頬張りながらハシャグ自由行動が待っている。そのメインイベントに、はやる気持ちがあったので、お話しの最中は上の空だった。
しかし、
『その岩こそが、今まさに此処にあるモノで、祟りがあるらしく、その岩に触れると、石になってしまうそうです』
と、最後に先生が言われた途端、
「ひえ~~!!」
と、3学年全員が覚醒して悲鳴を上げた。

小3って結構デカイと思うが、誰もが、石になると信じた。当然、私も信じた。
神話を聞いた直後は、自由時間になっても、皆が岩を遠巻きに見てたたずんでいた。
「このカエル、石に載せてみようぜ」
クラスイチ、サッカーが上手くて上層部の地位に居たショウカラが、小さい緑色の蛙を手に持ち、岩を囲む柵へ、限り無く近付いて行った。
「やめてよ。可哀想だがん」
活発で上位に居座る女子が注意した。

先ず、当時のショウカラ小僧は、”岩に触れたら石になる”と確信していたことは、間違いない。
しかし、女子は、どうでしょう?
果たして、”石になったら可哀想”と、このマセガキも信じていたのだろうか……?
"カエルちゃんでもカワイソウと思うワタシ"
という、心優しさを表現したくて、信じたようにみせかけたのではないのか。
彼女らは、空気を読んで、平気で信じたフリをする。いや、信じないフリ、騙されたフリ、知らないフリ、知ってるフリ、お馬鹿なフリ…その都度で計算をして、様々なフリで相手を欺く。そこの女のパフォーマンス能力は、年齢を問わない。

授業中にが鳴った時に、キャー!と悲鳴を上げていたが、その怖がりは実は大嘘である。彼女らは、校舎内に居れば、避雷針もあるし自身が安全なことを知っている。それを御存知のうえで、かよわくかわいく見せようと、ブリっ娘していたのだ。
一方男子は、”そんなんへっちゃらだい”と言う。これはこれで単なる馬鹿で、雷の恐ろしさを本当に分かってないだけのこと。また、自分には絶対に雷は落ちないという根拠のない自信を持っている御めでたい奴なのである。それが中学年男子。中年男にもしばしば居るが。


また、以下の事も年齢を問わない。

『女は平気で嘘を付き、男は本気で騙される』

小3の時に、ある女子が、
「さっきトイレで花子さんの手を見たんだよ。目の前に指がつーーて出てきた」
と言ってきた。
「ウソ!」
と私は嘲笑った。
すると、
「アンタいま花子さん怒らせたよ祟られるよ」

その時の女子の真顔がまた本当に恐ろしく、瞬きを一切せずの、瞳孔がクワッとなった定点は、自分に超能力があると信じ込でいる狂信的独身女のようにおぞましく、ブルった。

「ご、ごめん…ハハッ」

「ワタシに謝ったって許してくれないよ」

「どどうしたら。許してもらえるかなぁ?」

「どうなっても知らんカラ」

ああ、みぞおちが窒息してきた。今日また給食食べれないわ。
その日は間もなく、奥から二番目の女子トイレは、花子さんが絶対デルという事になり、誰も入れなくなった。
放課後、トイレの入口前にクラスのほぼ全員が集合して、奥から二番目を指差しながらアーダコーダ騒いでいた。
「オレがしっこしてる時、ギャーていう女の叫び声が聞こえてきた」
便乗する男子まで出てきたもんだから、ますます信憑性が増した。

「オメエ入ってみろよ」
「ヤダわよ~」
「オレなら入れるケドな」
「ゲロゲロ! 女子トイレに入りたいの?! エロオ~!!」
「ちが・・ちがうっ!!」
「近寄らんでよ。エロ菌が移る。みんなぁ! コイツ菌持ってるよ~逃げろお!!」

すぐ目的が変わる。小学生の会話は結構綱渡りなところがあり、ちょっとした発言で、叩かれる。

「ナニやってるのっ?! もう~」
鬼ごっこが始まろうとしていた時、隣クラスの女の先生が来た。
「センセエ、あのトイレ、オバケが出るんだよ」
「どのトイレなの?」
「あの、奥から二番目」
「普通のトイレじゃないのよ。そんなの出るわけないじゃない」
「本当ですよお」
「じゃあ、先生がします」
先生が、奥から二番に入った。
「スゲエ! せんせえ」
もはや尊敬代表である。
恐る恐る皆が観察するトイレから水が流れる音がした後、先生が出てきた。
「なにも出なかったじゃないよ。ホラ、もうおうちに帰りなさい」
翌日から、花子さんの話は消滅した。飽きたんだと思う。

以上のように、小3の女子は、怖話を利用して男を騙した。
これらのことから、女には、浮気が男に百パーばれない能力が備わっているのも頷けるだろう。そして、男の浮気は百パーばれる。
オレはバレてない上手くやってるゾと言う貴殿!
それは、奥様が、気付いてないフリをしているだけのこと。家庭の安定を最優先にしているだけデス。
鈍くて都合の良い妻だと悠長に構えていると、子供が巣立った後に、恐怖政治が始動することとなる。

どうでも良いが、あの時に先生は実際に用を足してないな。水を流しただけだわ。



【関連記事】
幼児の脳

低学年の脳①

高学年の脳①

本当にあった怖い話し①

もしもドラクエの魔法が1つ使えるとすれば何選ぶ⑤