店員さん、いらっしゃーい②

【※"ラメン食ぶる悲しい受験生(随筆)"から移転した記事】

池袋の"屯ちん"という麺屋へ行った。

店内に入るや、威勢良くデカイ声量で挨拶、注文をハッスル店員達。発声だけでもカラオケばりのカロリ消費。その声力による伝達能力は抜群。行き届いているのは声だけで無く、注文から麺湯で、スープ入れ、麺湯切り、メンマ載せに至るまでの全工程を複数人がきびきびとこなし、統制がとれている。
任務を遂行している皆は、恐らく元高校球児(無論硬式)が多数と思われる。そして大学時代も野球を継続するタフガイ。野球を続けるのは体力的に困難だという者は、応援団などに属するナイスガイ。部活に所属しなかったガイ衆も居るかもしれない。しかし代わりに、一人旅に挑む冒険家であり、人種の坩堝や老若男女の玉石混淆の中でも組織秩序やヒエラルキーが存在することを掴み取る。テニス部デスと語りながらトレンディな私服とロカビリーブーツのままデカサンも外さずコートに立ち入りロクに玉も打たずにワンレンボディコン太眉とくっちゃべてばかりの飲み要員ボクちゃん肩幅広シだらけのなんちゃってサークル外部で縦社会を学ぶ。狼に育てられた少年や猿園でボス猿と争った者もしかり。さのような自然界の法則に沿い育成された人材は信用できる。一杯のかけそばで育った子らも、オイラは蕎麦で育ったけど、これを活かしてラーメンで天下取ったると御膝下へ上京してくる。将軍こと店長による総括に於けるシメはラーメンでという提言にも、おじや派が謀反を起こすこと無くユニティされ易い運びとなる。

『国家を支えるつわものども』(『より良い国家を支えるつはものより頼朝よりのより過ぎ頼家の方がイイクニ作る』頼田依子著/寄川文庫より改題)より抜粋




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