スティック

何年も前、学生の時、所属していたサークル内で、スノボをする人が、スキー人口を上回り、悲しかった。

配布されたしおりの表題が、
『冬のスキー合宿だっちゅーの!!』
なのに、事実上スノボ合宿になっていた。

合宿当日、日の出前から、スキー板にワックスをストイックに塗っていたのは、四年の体育会系の男先輩方のみ。
フリフリの毛糸の帽子を被り、わざと帽子のてっぺんに空洞を作ってふにゃっとさせた可愛いよね可愛いでしょイチジョ達は、皆が皆スノボの1枚板を、重たそうに眠い目を擦りながら抱えていた。
重くないくせに。眠くないくせに。重い女のくせに。

敗戦後、日本国民が欧米文化にかぶれていったのと同様に、皆が洋風に毒されていく感じがした。
スキーは、極めたら必ず奥深い。しかし、取り敢えず滑れるようになるまでに練習と時間を要するので、最初はとっつき難い。結果、若者は直ぐに滑れるスノボに走る。
朝御飯を箸を使用して食べずに、コーンフレークをスプーンですくって簡単に済ます。
簡単だからと言ってスプーンを使わずに、日本人なら箸使えよ箸を。
あんなアイス掬うやつみたいな平べったい板でちゃっちゃと済まさずに、きちんと二本の細い板使えよ。
最初は難しくてハの字になってしまうけど、練習すれば美しい形になるよ。箸みたいに。

何かにつけて、棒状のモノより、丸っこいのをファッション感覚で安直に選択している感じがする。
日本人なら、サッカー応援せずに野球応援しろよ。勇ましい棒をもってタツ姿こそ男ではないか!
ゴールデンナイターが流れるブラウン管を囲んだ一家団欒の風景はどこ行った。

最終的に日本で生き残るべきものは、昔ながらの日本文化。

”巨人、スキー、卵焼き”

なのである。