大親友のために努力したこと

【※"ラメン食ぶる悲しい受験生(随筆)"から移転した記事】

初夏、満天の晴である。メロスはその昼、爆睡した後一里の路を急がずまったりで、日暮里へ到着したのは、其の日の午後。陽は当然高く昇って、村人たちは路に出て仕事をしていた。メロスは交番の前で自転車を停め、またがったまま、開けっ放しの引き戸の奥に見える巡査さんに「すいません、桃天花という麺屋はどこですか」と尋ねた。唐突に此処の場所だけは風が吹き続け、ひんやりしていた。すると二十代とおぼしき巡査さんが屋内から外へ出てきて、「有名でおいしい所ですよね。あちらの二番目の信号を左折してどうのこうの」と親切な案内をしてくれた。交番の室内ではエアコンディショナーの強風のうねり音がゴウゴウ鳴っていて、皐月なのに、道路に出てるオマワリの背筋を冷気で満たしていた。